前職は理学療法士というリハビリの仕事をしていましたが,病院を離れてもう3年になりました.新しく出会う人に,「理学療法士ってご存知ですか?」って聞くと詳しく認識されている人は半分程度なんですね…ちょっと寂しいですが,「リハビリ」とまとめて認識されていることがほとんどです.
当時は,集中治療室や整形外科,心臓病が専門でした.その中でも,思い出に残る患者さんを紹介したいと思います.理学療法は,病気や障害をもった方の社会復帰をサポートする仕事ですが,まさに自分が関わったことで人生が変わった!と感じた方です.ありがたいことに,いまだに関わりがあるんですよ.
出会いは,私の外勤先の病院でした.80歳代の女性です.
ある病院で人工膝関節の手術をされていましたが,なんと膝が80°しか曲がらなかったんです.(正座できる方が,大体150°前後曲がります)目標は,自転車に乗ること,定期的に旅行に行くこと.反対側も手術を勧められている状況で,足を引きずりながら悩まれてている表情での初対面でした.それから,毎週毎週,私の出勤に合わせて来てくださるんです.努力の甲斐あって,なんとか115°まで改善.そして,反対側の手術は私の勤務先の病院の先生をご紹介させていただき,経過は良好.私が退職するまでの計8年程度,ほぼ毎週通われました.
今考えると,こんなに自分を頼っていただいたことに感謝しかないです.2回目の術後からは,しっかり自転車もこげるようになり,大好きな旅行も定期的に行くことができて,こっそりお土産をいただいたり.笑
「先生,歩きすぎて膝が腫れた」とか,「ちょっと足首が痛い」とか言われる時もありましたが,これ実は嬉しい訴えなんです!その方がしっかり動けるようになって,好きなことができるようになった証拠なんですね.ここまでくると「リハビリ」というよりは,旅行を楽しむための「メンテナンスとトレーニング」ですが,ほんとにやりがいを感じる関わりでした.
“リハビリで人生が変わる”感動的な経過に立ち会うことができました.
年齢関係なく,好きなことや目標があるのは素敵ですね.こんな経験ができたからこそ,私自身,今こうしてこの仕事と出逢うことができました.
結婚の時にお祝いでいただいた,手作りの押し花と手書きのメッセージです
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