From 小林裕生
金融業界に転職して4年が経過しました。
顧客にとっての幸せとは?ファイナンシャルプランナーとしての幸せとはなんなのか?
自分自身に問いかけることが多いんです。直接伝えられる機会は少ないので文章にしてみようと思います。
最後まで読んで下さい。
経済的な安心と心の平和
これが、医療職から外資系保険会社に転職するきっかけになった信念のひとつです。
医療の現場では、身体的・精神的不安だけでなく、経済的不安を抱えていた人が多かった。
だからこそ、現場を知っている自分が経済的安心と心の平和の重要性を伝える責任があると確信していました。
そして、これを目指すファイナンシャルプランナーの道を選びました。
しかし、本質を伝えようと想うと、こちらの経済的安心が崩される。
こういう業界になっていることに早い段階で気づいてしまいました。
気づくのが早かったことは、これを読んでいる人にとっては非常に幸運だと思います。
いわゆる保険という保障があれば、経済的安心は担保できると、
転職当初は浸透していたし、1980年代までは個人の資産形成も「保険」で完結していたのも事実。
保険で貯金のような、保険でお金が増えることは当たり前だったんです。
保険会社は漢字名の会社、証券は4大証券が一番いいみたいな、
残念なことにいまだにブランドとして最強だと思っている人がいますね。
国内の会社がいろんな保障がついたパッケージ商品を売っていた時代から、
外資系の会社が進出してきて、オーダーメイドの商品へ変えていく(契約を乗り換えさせる)。
営業マン目線で伝えると、これが「経済的な安心と心の平和」だと信じていたようです。
これで稼ぐ人が多かったということです。
なせが、いまだに当時の成功が語りつがれているし、神話だと思っている人も多い。
そして、時代とともに儲ける手段になってきてしまったんです。
外貨建て保険が一番良いという洗脳、私もされていた時期はありましたから、身をもって感じていました。
だからこそ、疑問が生まれ、このギャップに苦しまされ、独立という道を選んでいます。
金融商品は、知れば知るほど、詳しくなるほど、たくさん選択肢を顧客に与えることができます。
実際は、「知らない方が楽」というマネーリテラシーのない営業マンが数多く存在してしまっているという残念な世界です。
保険会社の発想は、「ドーパミン的幸福」でした。
いかにうまく「セールス」するか、稼いでいる人が正義、そのための社内施策も多かった。
3つの幸福
ちょっとここで、「3つの幸福」について解説しておきます。私たちが幸せを感じる時には、「ドーパミン」、「セロトニン」、「オキシトシン」の脳内物質(3大幸福物質)が分泌されています。
引用文献 : 飛鳥新社 樺沢紫苑 最新科学から最高の人生を作る方法 精神科医が見つけた3つの幸福
・ドーパミン的幸福
お金や成功、達成、地位など、高揚感を伴う幸せ
・オキシトシン的幸福
人やペットなど「つながり」、「愛情」の幸せ
・セロトニン的幸福
爽やか、安らか、おだやかな幸せ
簡単にまとめると、 ①お金や成功、 ②つながり、 ③健康 の3本柱ということです。
この3つが満たされていないと、幸せにはなれないというか、感じられないんですが、幸福には優先順位があるようです。「幸せの三段重理論」です。ここ、重要です。
セロトニン的幸福 → オキシトシン的幸福 → ドーパミン的幸福
この順序が正解で、ドーパミン的幸福は一番最後です。
この優先順位を間違えると、不幸になる可能性が非常に高いそうです。
話をもどしますね。
保険会社のドーパミン的幸福の考えが合わないというのもありましたが、
顧客の様々な要望に応えるべく、一社専属から独立しました。
これまで保険しか扱えませんでしたが、今は守備範囲が広くなったわけです。
そうはいっても、保険の扱いをやめたわけではないですから、
代理店というところからパソコン(各社システムが入った専用PC)だけ借りているんですが、
この代理店業界でも「ドーパミン的幸福」で仕事をしている人が98%なんですよ。
証券業界も似たようなもんですが、自分自身は現場を経験はしていないので解説は省きます。
お金の相談って、どこまで無料で、どこから有料かわかりませんよね?
無料でしている人の方が、圧倒的多数です。なぜでしょうか?冷静に考えてください。
どこかで、無料分を吸い取れるからでしょう。自分の生活のために収入は必要です。
でも、顧客のための商品を選べば選ぶほど単価は下がるんです。
わかりやすくいうと、顧客の利益を優先すればするほど、こちらの給料が下がるということです。
無料ですればするほど、費用対効果が合わなくなってきます。
相談の時間、契約の時間、移動時間、交通費など経費がかかりますから。
だから、自分が儲かる商品を選んでいる人が多い。
結果、顧客の投資効率はかなり下がってしまう。誰のための仕事なんでしょうか?
業界には、いわゆるトップセールスといわれる人たちが存在します。
正直、そんな人に憧れた時期もありました。
正確には、憧れるように洗脳されていた?のかも知れませんが。
トップセールスはたくさん稼いでいて、顧客もたくさん担当していて、人格も素敵みたいなイメージでしょうか。
たくさんの人と関わってきて、色々教わってみて、思ったことは一つだけ。
彼らは、「ドーパミンの権化」だった。見事に、これだけです。
「顧客のため」と言い、納得してしまう言葉を使うのが上手いです。
でも、その人たちは生活に追われ、経費に追われ、ハイコストな生活。
とても憧れるような存在ではない。
コンフォートゾーンの中と外にギャップがありすぎる。
少しだけ言い方は悪いですが、商談マシーンってイメージです。
セロトニン的幸福、オキシトシン的幸福が伴っていないからこそ、ドーパミン的幸福に走る(手数料に毒されている)。
これを感じるための金融マンがあまりにも多い。
トップセールスほど、こういう傾向が強い。ランキング、表彰式、高い年収の維持、まさにドーパミンの奴隷。
よく観察するとわかります。
仕事への想いと実際の取り扱っている内容(販売している商品)が一致していないということが。
「知の呪縛」
これは自分が金融商品について詳しくなればなるほど、それを知らないという感覚がなくなってくる
一種の病気なんですが、素人だった頃の感覚がわからなくなってくるよくない傾向です。
知識があまりにも多くなってしまいますが、それは理想的なこと。
ファイナンシャルプランナーであればそうあるべき。
私の仕事は、顧客との知識の差が利益になる仕事だと思います。
弁護士も一緒ですね。
それを逆手にとって、ポジショントークをセールスに使っている人があまりにも多い。
だって、稼ぎたいから。表彰されたいから。知識が増えた結果、さらにドーパミンの奴隷になっている。
知らない方が楽なんですよ。自分の利益を優先しているほうが、明らかに楽なんです。
経済的な安心と心の平和、世の中の金融マンが伴っていない。
ノルマ、成績、手数料に追われている。
精神的な幸福感(セロトニン、オキシトシン)が伴っていない人は、魅力的ではないと思いませんか?
だから、自分は違う環境と考えで仕事をしていきたいんです。
1円でも多くとか、利率や商品の優劣も大事だけど、ここを細かく突き詰めるのも心の平和ではない。
だってドーパミン的発想でしょ?がんでお金がもらえた、株で成功したなど
ここにフォーカスしているとほんとの幸福感は得られない。
ただし、目的が合っていない契約、不本意な契約でお金を捨てる、損をするのは絶対にダメです!
お金に困らない、心配がない、無駄な保険料を払わない、ケチケチしなくていい。
そのストレスがなくなれば良い。
働く量を考えたり、外食も我慢しない、子供や家族と過ごす時間を確保する、
妻が夫に優しくなれる、また反対も然り。
贅沢にお金を使うより、「経験」のお金を使うようになる。
価値観が変わると思いませんか?
納得できる仕組みにのっていればいい
細かい手数料も問題ではない。
自分が安心できる商品を選び、将来の資産管理がしやすい商品を選べば良い、納得できる考え方を教わればいいんです。
本質を伝えようと想うと、こちらの経済的安心が崩される業界になっているからこそ、
正直正当な報酬を得るためには有料相談という手段を取らないと成立しないです。
きっと、私は顧客本位の仕事内容と存在している稼げる商品とのギャップに苦しみ続けるでしょう。
でも、「顧客の利益優先」の考え方は、絶対に揺らぎません。
揺らぐときは、引退します。
自分や家族に提案しないものは、顧客にも絶対に提案しないのがわかるから友人に私を紹介している、
という嬉しい声をたくさんいただいています。
追伸
自分がドーパミンの奴隷の世界にいるとこんな考えで仕事できないです。
自分が信念を持ってやる(3大幸福感)のバランスをとるマインドがあるから継続していけると思います。
業界では圧倒的少数派。
収入がない人もいるがそれは能力がない人ですし、平均的・一般的な営業マンはこちらの世界には来ないでしょう。
商品で言い訳して継続しているからです。
この商品なら悪い訳ではないしいいかな、みたいな考えで生き続けて行くんだと思います。
こういう人たちを見抜くには、あなたが知識をつけること、いろんな人の意見を聞くことが大事です。
何者かになりたい(他人や親に見せつけてやろうみたいな名誉)みたいな感覚はみんなあると思います。
正直わからなくもない。
幼少期や学生時代だって、テストの点数、偏差値で順位がつけられ、
両親にいい姿見せたいとか、ドーパミンが煽られている。
借金を返済したとか、親がいないけどたくましく育ったとか、
苦しいバックグラウンドを克服してきた人にフォーカスあたりがちじゃないですか。
セロトニン的、オキシトシン的幸福を感じられていない人ほど、ドーパミン的幸福に走ってしまう。
偏差値、平均値から上にズレて、存在価値を証明しようとする。
金融の世界では、それに顧客が巻き込まれてしまっている。
悲しいですね。我が家の担当は社内で優秀で表彰されています。
社内表彰の旅行のお土産買ってきましたとか聞いたことありません?
それ、あなたが巻き込まれてますからね。
ドーパミンに取り憑かれた人ほど、普通の生活ができなくなる。
①お金、②家族、③仕事、④友人、何かを消している(諦めている)のが成功者の特徴みたいな話もあります。
実際に、高収入の人って家にいなかったり、家族と疎遠だったり、子育てしていない人多いじゃないですか。
仕事関係の知人は多いけど、親友といえる人がいないことも。
極端なこと言わずに、4つあるコンロの火はバランスよくつけたらいいでしょ。
どこかの火を消すなら一時的にすりゃいいじゃん。
私の仕事は、わかりにくいですが、本来はドーパミン的幸福以外の手伝いだと想うんです。
資産が増えた、守れた、経済的な不安がなかったと、次世代にいい仕事をしてくれたと思わればいいんです。
子ども達が想像より幸せで豊になってくれれば。お金の不安があると、心にも余裕が生まれません。
無理に収入を増やせという意味ではないです。あらゆる状況でも経済的不安がないように準備しておくという意味です。
公私共に充実したファイナンシャルプランナーという立ち位置が大事。
オキシトシン、セトロニン的幸福が伴っている担当者で在り続けたいです。
インスタでよく見かけるキラキラした一面(見栄)とは違う。
誰かよりすごいは、ドーパミン的発想。
オキシトシン、セトロニン的幸福があって、たまにドーパミン的幸福があるからいいんですよ。
自分がどのような姿でいたら良いか、「在り方」を優先したいと思います。
見栄のためにインスタに投稿する暇あったら、子どもを抱いとけ。家族揃って食事しろ!
長い文章を最後まで、読んでいただきありがとうございました。
コメント